いままでこんな記事は書いたりしなかったのですが、この1週間ほどで何人にもCMのロケ地はどこだかわかりますか?って聞かれました(笑) 知りたいという需要は多いのかも?
確かに、私は普通の人よりは色んな場所に行っています。でも、自然の中のCMのロケ地を当てるのは、簡単じゃないです。ただ、よくCMを見ていたらヒントがないこともないような気がしました。これまでの経験から考えてみましょう。でも、考えれば考えるほど南アルプスじゃなくなってしまう。。。
サントリー天然水のCMとは
宇多田ヒカルが出演してから、注目度がすごく上がったと思います。本人の人気もあるし、楽曲も使われているし、映像がとっても綺麗に撮影&編集されています。1本目 2016年9月 南アルプス
南アルプス篇のロケ地は栗沢岳とアサヨ峰でした。南アルプスのピークとしては、ぶっちゃけ有名ではありません。登山者も多くはありません。でも、甲斐駒ヶ岳を眺めるなら、おすすめの山です! 正直、きれいなCMだなぁくらいなイメージでしたが、「宇多田ヒカルの山に行きたい!」って相談された時に、CMの影響力の強さを感じました。サントリー天然水『水の山行ってきた 南アルプス』篇 60秒 サントリー CM
2本目 2017年6月 奥大山
サントリー天然水『水の山行ってきた 奥大山』篇 60秒 サントリー CM
1本目は「南アルプス」篇・2本目は「奥大山」篇と公表されていて、ロケ地が想像できます。
3本目 光も風もいただきます
地名がないので、ちらっと見ただけでは、ちっともさっぱり予想できません。サントリー天然水『光も風もいただきます』篇 60秒CM / 宇多田ヒカル
※天然水スパークリングのCMは除いて考えています。
CMの内容を確認してみる
画像はサントリーの公式You Tubeからキャプチャしています。最初は山の中でテントを張り、焚き火をしているシーンから。
詩の朗読のシーン
国木田独歩の詩の一節「月光をして汝の逍遙を照らさしめ、山谷の風をしてほしいままに汝を吹かしめよ」と映像が切り替わる中、読み進めます。
灌木の森を歩くシーン
再び詩の朗読シーン
大きな山をバックに歩くシーン
一転水辺のシーンへ。植物に散った水滴が凍っています。
ドローンで撮影したと思われる、山のシーン
山の川沿いを歩くシーン
滝をドローンで撮影したシーン
滝をバックに水を飲むシーン
滝の全容がわかるシーン
最後のサントリーのロゴ
わずか1分のCMの為に莫大な手間がかかっているのが、想像できますね。
メイキング動画も見てみる
気になったメイキング動画のシーンを切り出してみました水しぶきが凄くて ほぼずぶ濡れ
滝がきれいで気持ちよかった&後ろの水に注目
風景に注目
2020年サントリー天然水のロケ地考察
ロケの時期を考える
山をやっていない人にはわかりにくいですが、標高の高い大きな山は、季節による環境の変化がものすごく大きいです。夏と冬では全くの別世界になってしまいます。このCMがYou Tubeに公開されたのは、4月19日です。この時期のアルプスはまだ雪山。時間をかけた丁寧なCMのロケができる時期ではありません。また、コロナの広がりを考えると2月までに撮影されたと考えるべきかと思います。4月に入ってロケに行っていたら、非難されるでしょうしね。
ということから、私は季節が逆の南半球で撮影したものではないかと考えます。
2019年の秋までに撮影していたと考えれば、上記の前提は崩れますが。。。
2016年の9月に公開したCMは台風が近づいている時に行われたとか。2016年で台風ということは8月にロケされた可能性が高いです。
2017年の6月に公開したCMはカラ類の鳥の囀りと、バックの木々の芽吹き具合から4〜5月に撮影したと想像できます。
ということで、これまではロケから公開まで、それほど時間はかかっていないと思われます。
南半球だとすればどこ??
南半球で鋭い山で雪があるとすれば、ニュージーランドの南島が当てはまります。森がキレイならオーストラリアのタスマニアなんかもキレイで良かったですが、雪を考えるとやっぱりニュージーランドの南島かと思います。私も何回も歩いていますが、大半がフィヨルドランド国立公園やアオラキ/マウントクック国立という場所です。雨が多く緑の濃い場所なので、このCMのロケ場所とかなり雰囲気が違います。なんと言っても、南島はロード・オブ・ザ・リングのロケ地ですからね。私の知らない、いろんな景色あるはずです。
宇多田ヒカル本人の出演シーンについて
日本ではないと考える理由①
まずこのシーンから推測できることバックの山に目が行きやすいですが、手前の丘のように見える地形に注目します。
標高差1mおきくらいに、いくつもの道のような段が見えますね。これは、家畜が草を食べたりする時に歩く道かと思われます。
日本は家畜を山に放したりすることは多くないので、見かけることが少ない地形ですが、海外の山では比較的よく見かけます。
例えばネパール エベレスト街道のトレッキングの景色ですが、左の斜面に同じような網の目状の家畜の道があるのがわかりますか?ちなみに真ん中の奥の山がエベレストです。
拡大してみましょう。これならわかりますね!
私がよく言う言葉に「海外の山だから自然が豊かということはないよ」というのがあります。スイスなどのヨーロッパでは氷河の真下まで放牧地だったりします。日本で考えれば、涸沢カールの中まで牛がいるようなもんかもしれません。このネパールの写真も標高は富士山くらいです。
そして、バックの山を見てみましょう
雪の残り方も日本の山としては、私には見覚えがありません。雪の残っている場所と地形を考えると、残雪ですね。新しく降った雪ではなさそうです。
さらに岩の質感に注目してみます。
つるっとした岩壁が多いように思います。風化による侵食というよりは、氷河による侵食の特徴です。
日本ではないと考える理由②
これらのシーンから考察します日本中、世界中いろいろな場所を歩いてきて思うことは、これは日本の環境&植生ではないのでは?
まず、下の灌木です。はっきりとした画像ではないので断定はできませんが、見えている範囲は全て同じ種類の木に思えます。降水量が多く、植生が豊かな日本の自然ではこのような特定の植物だけの環境にはまずなりません。いろいろな種類の植物が現れるはずです。そして樹木の背も高くなる。
この写真もそうです。草原が広がっているように見えます。日本であれば、自然状態でこのような背の低い植物だけ広がるということは考えにくいです。
左上を拡大してみると、草の斜面に段々が見えます。
やはり家畜の歩いた跡かと。家畜が草を食べる海外では、よく見る景色ですからね。北海道とかの大きな牧場でなら撮れるかもしれませんが。
滝の場所を考える
きっとみんなが気になるのは、この滝がどこにあるかでしょう。日本には多くの滝があります。有名じゃなくてもスケール&標高差のある滝はいっぱいです。沢登りをすると出会えます。でも、殆どの場合で日本の滝は落差はあっても谷が狭い事が多いです。こんな滝壺の広がりを持つということは、川の下流域になると思います。日本だとすると、このサイズの川幅で知られていない滝を見つけてロケするのは大変でしょうね。
メイキング動画から考える①
まずこの「水しぶきが凄くて ほぼずぶ濡れ」「滝がきれいで気持ちよかった」というコメント日本で2月〜3月にロケをしていたら、言えるセリフではないですよね。本人は撮影用としても、周囲のスタッフは手袋くらいするでしょう。 寒くて凍えます。きっと笑えない!
ただ、後ろの樹木に葉っぱが付いていないですよね。これがちょっとおかしいなぁと。日本の冬っぽい感じ。
もしかしたら、上の山の映像と滝では撮っている場所や時期が違うのかな??
メイキング動画から考える②
この景色は日本じゃないでしょう(笑)森林限界クラスの植生エリアを通過する自動車道は日本には殆どありません。
と思ったものの、どこでロケをしていたかは分かりません。すいません。
使っている装備は?
紹介した装備は、どれも見た瞬間にピンときました。ウェアとかはわからないです。。。テント
すぐに分かりました。アライテントのエアライズかと。短辺にある出入り口、カラー、ベンチレーターの位置などで推測できます。焚き火台
これを買おうかなぁ〜と悩んだことがあるので(笑)登山靴
持っていないけど、モンチュラの登山靴は見ればすぐに分かりますチェア
ヘリノックスのチェアワンとノルディスクのコラボモデルじゃないかと思います。色と形は問題ないと思います。ただ、サイドの形が普通のヘリノックスと少し違うような気も。私はチェアゼロを山に持っていきます。ドローン動画から考える
どう考えても日本
左に富士山、正面に甲斐駒ヶ岳。日本です。そして、ロケをしていたであろう時期にふさわしい積雪ですね。山が白いですから。
まとめてみると
いろいろな視点で考えてみましたが、どこかは分かりませんでした。今はコロナで、ガイドの仕事ができないのでこういった記事を書くことができました。のんびり生活をしていると頭の回転が悪くなる気がします。頭の体操みたいで楽しかったです。外れてても、クレーム送らないでください(笑)
きっと本人出演のシーンは日本じゃありません。滝も日本じゃないと思うけど、日本だったら嬉しい(笑)
山の空撮は南アルプスの甲斐駒ヶ岳と富士山で間違いないです。
天然水のCMだから日本で全部ロケして欲しいと思うのは自分だけ?
ロケがほぼ海外だとしたら、輸入天然水をこのブランドで販売する計画でもあるのかな?
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