小笠原 ホエールウォッチング~津波が襲う><。


「レインボーブリッジ」

今回は「東洋のガラパゴス」と言われる小笠原へ。
東京はまだまだ冬だが常夏の南国には、ザトウクジラが集まり、一度の大陸とつながったことのない島には独自の生態系が形成され固有種にあふれているという。
 
東京から、南へ「おがさわら丸」で1000kmの旅の始まり。酔い止めをしっかり飲んで船は定刻の10時に出発した。

レインボーブリッジ、お台場の船の科学館、フジテレビ、そして、右に羽田空港と飛び立つ飛行機を眺めながら走りぬける。東京湾アクアライン(海ほたる)⇒横浜みなとみらい⇒三浦半島を右舷側に眺めながら3時間ほどで船は州崎を通過し東京湾の外へ出る。海から東京湾を眺める機会はめったにないので新鮮だ。

 船内では、小笠原の楽しみ方を、写真を使いながらガイドさんが説明してくれる「船内レクチャー」やおがさわら丸の操舵室や機関室を巡る「見学ツアー」、また船上からクジラを探す船上ウォッチングとイベント盛りだくさん。
「見学ツアー」にて、Q「往復どのくらいの燃料費がかかるのか?」という問いに対してA「往復約800万円」との回答に非常に驚いた。おがさわら丸は意外と早い。速力22.5ノット。約40km/hくらいで進む。2006年春以降に就航する予定だった「テクノスーパーライナー」は時速70km/hで約17時間で東京~小笠原を結ぶ予定だったが、燃費が悪い、接岸時に悪天候に弱いなど諸諸の理由により就航中止となった。他にも、飛行場を作るなど計画はあったが未だに実現はされていない。


「おが丸@二見港」


2日目、9時頃左舷に聟島列島(ケータ)が見えてくる。海が非常にきれいでダイバーや釣り人なんかに人気で父島からツアーも出ている。ここらへんからクジラが出現するという。改めて見渡すと太平洋の広さに感動><。

「ブロー!!」

そっちの方角を見るとクジラ潮吹きだ。突然の海上のハプニングに甲板の人々は大喜び。期待が高まり一生懸命探す。気がつくと、左舷前方には父島が見えてきた。東京から千キロ離れたこの島がなぜ「小笠原」という名称を持っているのかという疑問が沸く。
 
二見港ではたくさんの人が出迎えに来ていた。
タラップを降りると南国を感じる。蒸し暑さはないが、半袖が似合う。ボニンブルーの海が眩しい。ここで、「ははじま丸」に乗り換え、母島まで50kmと2時間。もう一息。疲れてはいたが、この航路は最もクジラが見やすい航路ということで期待が高まる。
 辛抱強く待っていると、ブローが数発。クジラがいるらしい。ジャンプを期待したがそう簡単には見せてくれない。

母島へ到着し、タラップを降りようとすると、一度職員に止められる。「マット」が敷いてあり入島する前に足をマットで擦ってからでないと入れない。貴重な動植物を移入種から守るためだ。

「靴の裏をクリーニング」

 港には民宿「メグロ」と「アンナビーチ」のオーナーが迎えに来てくれた。荷物をピックアップしてもらい早速市内散策へ。軽い運動が凝り固まった身体には良い。
 海がめ産卵保護施設を見学して、鮫が崎展望台へひと登り。南国の海を一望するには気持ちが良すぎるくらいの爽快なところだ。母島の町はとても小さく人口2000人ほど。JAスーパー、商店、小中学校と散策すれば5分程度でメインストリートは終わってしまう。宿に到着後は、買い物や小剣先山や夕日スポット(クジラも観察できる)静沢の森遊歩道へ行ったり、それぞれ楽しんだ。

「鮫ヶ崎展望台」

夕食は、「アウストロ」というおしゃれなロッジ風のところで、オナガダイの刺身、切干大根の煮物、母島で採れた野菜のサラダ、オリンダ(ピーマンのような)のゴマ炒め、アカバのから揚げ、ソフトクリーム自家製パッションフルーツを満喫。夜は久々に揺れないベットでお休み(笑)


「小笠原時間な郵便局」

三日目、講師の早川保先生のガイドで小笠原島最高峰・乳房山へ。早速、登山口(220m)で得意の「口笛」でメグロを呼ぶとすぐに、ビンゴ!!メグロがやってきた!!一同驚きを隠せない。メグロは眼の周りが黒いので「目黒」甘い花の蜜や昆虫、木の実を食べる。母島とその周辺の島のみにしか生息しない固有種。目の前でじっくりと観察することができ満足。

 車で船木山登山口(220m)から玉川ダム沿いを進む。外来種「アカギ」が目立つ。母島ではこれが増えて困っているそうだ。トレールをゆっくり歩きながら、いろいろ解説してくれる。昔はロープにしたという「月桃(ゲットウ)」は、ショウガ科なので殺菌作用があり、島寿司を包むのにも使われていた。

 「あうぅぅー!」っと何度もアカガシラバトの泣き声を早川さんがマネしてくれた。そのアカガシラバトの好物は「シマホルトの木の実」。12月~1月に木の実がなる。今年は不作でさらに絶滅の危機が迫ったとか><。


「メグロにラブコールを送る早川さん」

小笠原諸島は、今世界遺産登録に向けて急ピッチに準備が進んでいるようで、早ければ今年の秋には申請を行う動きだ。その一つのシンボルとして
「こぶの木」がある。見事なこぶだ。
 また、石門もシンボルの一つとして期待されていたが、最近崩落した。苦しい急な登りを登ると稜線に出た。

「わあああ!!」


「石門のある海岸」

港のある自分たちの登ってきた側とは反対側の展望はさらに素晴らしい。見事な自然の芸術だ。
稜線を再び登っていくと大きな木の前で早川さんが立ち止まった。
「これは何の木だかわかりますか?」
わからない。聞くと、大きなハイビスカスの木とのこと。あまりの大きさに驚く。

「正面はハイビスカスの巨木」

乳房山(463m)は固有種の宝庫だ。父島の最高峰・中央山(319m)よりも高いのでその差がさらに多様性にスパイスを加える。ハハジマノボタンは山頂付近に見られ淡桃の5弁の花を咲かせる。ムニンヒメツバキは6月に山一面に花を咲かせ、「小笠原村の花」としても親しまれている。
ワダンはアキに咲くということで、「ワダンアキコ」と覚える(早川さん談)。。キク科でありながら小笠原の温暖な気候のために樹木になってしまった。
 早川さんの小笠原の話は尽きることがない。そこには運命的な出会いと思わせるようなドラマがあるかのように情熱的に語っていただく話題は面白い。気がつけば、山頂へ到着(約2時間)。奥深い山の魅力的ではあるが、トロピカル色の海に囲まれた山の展望も悪くない。いや素晴らしい。

山頂では、早川さんが歌を披露してくれた。今回はあまり時間がなかったが、詳しいことは、中部読売の「緑の島に魅せられて」という連載がインターネットに掲載されているそうだ。
 

「ホエールウォッチングのガイドさん」
 
 4日目。本日はいよいよ「ホエールウォッチング」の日だ。気合が入る。シュノーケル希望組はウェットスーツのサイズを合わせ船に乗る。今回お世話になるのは、「小笠原観光」。20名が載れる大きなダイビング船だ。二見港を出てしばらくすると、クジラのブロー!近づいたが、なかなか出てこない。一度潜ると5分~40分程度出てこないことがあり、どこから出てくるのか予想が難しい。クジラは哺乳類のため、海面に上がって呼吸をする。このときクジラの吐く息が、白い霧状になって高く上がるのがブローで遠くでも発見できる。15分ほど待ったがまだ出てこない。諦めて船を動かす。

「わああ!!」

突然不意をついてブリーチ(ジャンプ!)
体長が14mくらいのオスクジラ。海面から飛び出て体をひねって背中から落ちる。その水しぶきはすごい!乗っている船が飛び上がるようなものだからすごい。

クジラはこの時期あまり遠くには行かずこの海域にいるとのことなので、ひとまず「南島」へ。
しかし、「今回は行けない。」と船長判断。南島は非常に上陸の難しい島で、入り口が狭く浅いので、風が強く、波も高い日には入島できない。仕方ないので、扇池の入り口を見に行くことに。

「扇池の外側」

南島を後にし、兄島と父島の間にある「海中公園」へ。ここで、いざ!シュノーケル。1月1日から海開きしている小笠原だが、この時期は水が冷たい。皆、ウェットスーツを着込んで潜る。海の中は熱帯パラダイス。南国の海でしか見ることのできない色とりどりの魚は見ていて飽きない。また、泳げない人にも海中を覗く用の大きなバケツみたいなメガネで鑑賞。波のないところに船を移動させ、船上でお弁当。海上ピクニック気分でたまには海でのお弁当も楽しい。午後は、ドルフィンスイムで人気の「ミナミハンドイルカ」を探した。小笠原の海域では一年中見られるそうだ。

「はい、チーズ!」

兄島、弟島とゆっくり小笠原特有の地形を楽しみながら進む。中でも「枕状溶岩(まくらじょうようがん)」。溶岩が水中に噴出する際にできる溶岩。枕を積み重ねたように見えています。プレート沈み込み初期にのみ発生する無人岩(ボニナイト)が地殻変動による破壊を受けずにまとまった規模で露出している。世界に小笠原でしか見れない地形にシャッターを押す。

「枕状溶岩」 

二見港へ船を向けて走るとブローを発見。すぐにそばによりエンジンを止める。ザトウクジラは尾ビレも特徴的で大きく、翼のような形をしており、ふちがギザギザ。尾ビレの下側には黒と白の模様がついてるが、この模様は個体ごとに特徴的な形をしており、ホエールウォッチングするときにはこの尻尾の模様を見てそれぞれの個体を見分ける。

「おおおお!」

見事なブリーチ!一瞬の出来事にカメラを構えるのは難しい。すると、また、出た。三連続ジャンプ!!あまりの大サービスに大満足。

「動画:ホエールウォッチング」

通常だと、ジャンプすることは稀である。なぜ、ジャンプをするかというのは、わかったはいないが、潮の変わり目や、天気が悪くなる前の日にクジラのジャンプを良く見るという話を良く聞く。
最後に、船長がクジラに

「ありがとううう!!」
と鯨さんに声をかけたのは印象的だった。

「船の上から覗いただけでもこんにお魚さんが、、いざっ!シュノーケル!」

 今晩の夕食は、「島寿司」ということでとても楽しみだ。伝統的には、カマスサワラをヅケにしるのが特徴で、少しでもネタを長持ちさせようという亜熱帯ならではの生活の知恵だ。また、わさびの代わりにからしを使うのも一味違うところ。今回は、カジキをネタにした島寿司だ。

「島寿司」

最終日は、小笠原観光のガイド小松さんの案内で小笠原亜熱帯農業センター,小笠原最高峰の中央山など観光の予定。
 しかし、昨夜発生したチリでの地震出発前テレビを見ていると嫌な予感。チリで発生した地震の津波がこちらへ向かっているという。しかも、最大で2メートルの予想。とりあえず、朝の段階で警報は、発令されなかったので出発することに。
この農業センターでは、亜熱帯気候を生かした東京都の農業研究施設。小笠原の固有植物、熱帯植物の展示園や展望台もある。表にヌニンボタンがたくさん栽培される。AM9:30。熱帯植物園出ようとしたときに津波警報発令される。

「ウウウーー!!」

あたりの空気を一瞬にして緊迫させる。戦時中は
こんな感じだったのかなとか想像させる。
ガイド小松さんの案内で、道路脇の植物の説明、歴史、景色の良い展望台を散策。当初の予定では中央山、夜明け山の大砲などトレッキングをする予定でしたが、津波警報のため短縮していつでも動ける体制で行動へ。長崎展望台を観光中に携帯に連絡が入り、小中学校へ避難指示が出た。。。
急遽、大村へ戻り、お弁当を買出して体育館へ11時半到着。

「避難場所指示」

正午には、津波警報が「避難命令」に。役場職員の指示に従い行動。津波情報は一時間置きに案内。アルファ米とビスケット、水、毛布が配布される。
●13時⇒津波第一波目予想→はずれ
●14:20⇒一波目到達20cm
●15時⇒2波目30cm
●16:20 ⇒津波50cm。。町の人は戻り始める。。。●19:30 ⇒津波避難命令解除。引き続き津波警報。すでにスーパーなどは閉まってしまったが、飲食店は営業。お土産など買えなかった。
●21時より乗船チケット引き換え
●22時より乗船開始。船内レストランも営業。売店は23時より。窓口にて、下船後、JR、飛行機の遅延証明を発行してくれた。
●出航3月1日0時⇒到着2日7時半となった。

「体育館の様子」

「非常食」
夜遅くにも関わらず、たくさんの人が送迎に来てくれた。また、今回は見送ってくれた船は小笠原観光のみ。いつもは盛大だが、深夜にも関わらず見送りが盛大なのは驚きでした。

「どうもありがとうございました☆」(見送り)

☆最後に
今回「大変お疲れ様でした」。まさかの事態に大幅に遅れることとなりその後乗り継ぎ等に大変ご迷惑をおかけしました。お詫び申しあげます。


ツアーリーダー:石原智幸



PS:今回の帰路は、通常とは違うスケジュールで船が運航されたので普段では見ることのできない展望がありました。

孀婦岩(そうふいわ)


「鳥島」



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