アフリカ最高峰・キリマンジャロを目指す。

アフリカの最高峰キリマンジャロへチャレンジする。
一生に一度は登ってみたい憧れの山。標高は富士山よりはるかに高い5895mあるが、山頂までのコースに氷河や道具が必要な岩場などなく、てっぺんまで歩いて登れる山だ。高山病のリスクはあるが、装備さえしっかりしていれば、素人でも登れないわけではない。

今回は、マラングルート、通称コカコーラルートと呼ばれるルートで、標高3720mのホロンボハットに二泊して高度順応をする「5泊6日コース」で山頂の5895mを狙う。



○一日目。
アルーシャのホテルから外へ出ると、メルー山が雲の切れ間から大きく顔を出していた。
山ガール&山ボーイの格好に変身し、たくさんの登山装備の入ったバックをバスに積み込む。
現地の責任者・大きな笑い声に大きなお尻のエミーも一緒に乗り合わせる。

「トゥエンデェ!!(出発!)」

日本では見ることのできない地平線が悠々に広がり、その奥にモヤっとした黒い影のような壁がある。
なにか大きな塊のようだ。現地ガイドのフレディがあそこにキリマンジャロがあると言う。

日が上がり、太陽が照り始めると、闇の頭から、真っ白に染まったキリマンジャロが顔を出した。

「おおおお!!シママ!!(ストップ)」

と、皆カメラを片手に叫ぶ。


「タンザニアから見たキリマンジャロ」

小高くなった丘の上で車を止めてもらい早速キリマンジャロの写真タイム。
いつの間にかに雲は晴れ上がり、大きな全容が現れる。
山裾は、揺やかに左右に伸び、傾斜はなさそうだ。簡単に登れそうな錯覚を起こしそうだ。
しかし、6000m近い大きな山だ。アルーシャから、モシ、ヒモタウンと幹線道路を走り、ヒモから
登山口のあるマラングゲートへ坂道を登る。


ゲートに着くと、荷物持ちのポーターたちがすでに準備をして待っていた。
登山口には、きれいなトイレがあり、管理事務所、こぎれいなお土産屋がある。
入山手続を済ませ、ストレッチ。周りの人たちは珍しげに眺めている。
登山の前にストレッチをするのは日本人だけだろうか。。

乾燥したサバンナのような道を歩くと思っていたが、鬱蒼をしたジャングルを歩き始める。
きれいな花や、長い白い毛並みに黒の顔をしたコロブスが木から木へジャンプしている。


「ジャングル」

KISAMBIONIという登山口とマンダラハットの中間に位置するトイレがある場所でランチタイム。
さすが、世界中から人が集まっているだけあって整備が行き届いている。

ボリュームあるハンバーガーでしっかり腹ごしらえする。

「あっ

という間に、カラスにクッキーをやられた。
ここキリマンジャロのカラスもイヤラシイ。


樹林帯を歩くこと4時間、マンダラハットへ到着。
コテージに荷物を置き、ティータイム。
コテージに到着してすぐにお茶が出てくるサービスは素晴らしい。

一息入れて、そばにクレーターがあるということなので、見学に行く。
少し呼吸が苦しく感じる。マンダラハットの標高は2700m。
のんびりポレポレ歩く。

おっ、クレーターだ。すり鉢の内部は不思議と木が生えていない。
せっかくなので、お鉢巡り。大きくて一際目立つプロテアの花が印象的だ。


「プロテア」

カメレオンを発見。捕まえて色が変わる様を観察する。さらに面白いのは、左右に飛び出た目。グリグリと左右別々に器用に動く。目が合うと、ムフっとしてしまう(笑)

三角の屋根をしたコテージは、個別に分かれており、持参した寝袋をマットに敷いて利用する。
中央にある一番大きなコテージは、食堂となっており、テーブルにナイフとフォークがセットされ、
同行するコックが、スープから、メインディッシュ、デザートまでフルコースで振舞う。


○二日目
本日は、標高2700mのマンダラハットから標高3700mのナイロビまで標高を上げる。
1時間も歩くと樹林帯を抜け、右にマウェンジ峰、左にキリマンジャロが姿を現す。
歩いていると、たくさんのお花に出会う。数年前に起きた火事で、灰色になっていた野原も
たくさんのお花が咲き、飽きない。標高があがると、植生が変化してくる。


「トリロマKniphofia thomsonii」


「ロベリア」

ロベリアという頭が剥げたようなサボテンのような植物が、草原に目立つ。
良く見ると、中にお花が隠れている。この花の蜜が好きなサンバードというとてもきれいな鳥も周辺に
多い。この鳥のくちばしは、まさにロベリアの蜜を吸うためにできたような形が印象的だ。


「Bronze sunbird」

ホロンボハットが近くなったこと突然大きなオバケみたいな植物が現れた。
ジャイアントセネシオだ。一応キク科らしい。高さが5m~8mほどになるらしい。


「ジャイアントセネシオ」

少し行くと、ホロンボハットが見えてきた。食堂のコテージが新しく新設され、食堂は2棟になった。
以前まで1棟しかなかったのでテーブルの取り合いで大変だったが安心だ。今は新しくキッチン
のコテージも作っているという。このホロンボで高度順応をかねて2泊する。ほぼ、富士山の山頂と
同じ標高だ。ポレポレ(ゆっくり)行動しないとすぐに息があがる。

○三日目
本日は高度順応日。

午前中、ゼブラロックと呼ばれている標高4000mあたりまで歩き体を慣らす。
マウェンジ峰がすぐ側にそそり立つ。このゼブラロックへの道はマウェンジ峰へのベースキャンプ
へ続く道ともなる。キリマンジャロには申し訳ないが(笑)、山頂付近が険しく登ってみたい山だ。
しかし、最近は岩が脆くほぼ登る人はいないそうだ。


「ゼブラロック」


「マウェンンジ Hans Meyer Pk5149m」

帰路は、ゼブラロックの裏山を登るキボハットへ続く本ルートへ合流し下る。
裏山に上ると、サドル地帯の上に悠々とキリマンジャロが腰を落ち着かせている。
なだらかな山容に、日本の大山でも登るような感覚で登れそうな気がしないこともない。
というより、あまりに大きすぎて、厳しさがよくわからない(笑)

しばらくのんびり眺める。

午後は、アタックに備えて荷物整理をしたり、のんびり過ごした。
キリマンジャロから下山してきた人たちやホロンボに到着する世界各国
から来る人たちを眺めるのは、楽しい時間だ。


「ホロンボから」


○4日目
本日は、4700mのキボハットまであがる。そして、深夜よりいよいよアタック開始だ。
今までとは違い少し緊張したスタートとなる。
相変わらず道幅は広く、車が走れてしまうんではないかと思うくらい幅もあり、なだらかな傾斜だ。

雲ひとつない濃い青空に照らされながら歩く。でも地平線の先は下に雲海が広がり、なんか不思議な感覚だ。


「ジャイアントセネシオと雲海」

ラストポイントウォーターを過ぎると、もう水場はない。
以前はここで最後に水を汲んでいたが、今はもう一つ手前の水場で水を汲み、キボハットまで運ぶ。


「ラストポイントウォーター」

果てしない惑星のようなサドル地帯を山の麓目指して歩く。
一応1時間半置きくらいの間隔で、ホロンボからキボの間に三箇所ある。
ここらへんは隠れられる場所がないのでトイレがあるのは助かる。


「サドル地帯をキリマンジャロ目指して歩く」

マラングルートは、キボハットから突然傾斜がきつくなる。
それまで、なんとなく登っているような道をダラダラ歩くのだが、
キボからいきなり傾斜がきつくなる。とは言っても富士山くらい。

キボハットはちょうど山腹にあるような感じだ。
小屋の中に入ると薄くらく寒い。薄手のダウンがほしくなる。
ここまで来るとさすがに高所の影響がメンバーにも出始める。


「キボハットよりマウェンジを眺める」

パルスオキシメーターという器具に指先を入れて計ると、深呼吸していないとメンバーのなかには「70」がでる人もいた。できるだけ水分補給をして、深呼吸を心がけ、保温をしっかりして、体の循環機能を下げないように
注意する。循環機能が悪くなると、血液はどろどろになり、酸素は体に回らなくなる。

キボハットで、荷物整理はしんどい。気がつくと、ついつい集中してしまい呼吸するのを忘れ、
顔をあげると、フラッとくることがある。できるだけホロンボハットで準備しておくのがコツだ。

また、-0~5くらいの気温なので冷たい水でお腹を壊すこともある。
ここでは、砂糖をたっぷり入れた暖かいチャイが、おいしい。

高山病に備えて、ガモウバックの使用方法を現地スタッフともう一度確認した。
膨らませると内部が高圧に変化する携帯型のバックです。


「ガモウバック」

早めの夕食を済ませ、アタックに備える。今晩の11時起床だ。


○アタック
眠れていないと思っていたが、ポーターに叩き起こされた。
寝ぼけて、ワケわからないが、とりあえず、防寒儀を身につけ備える。

簡単なお粥を食べ、腹ごしらえ。お腹が減ったのかもわからないがしっかり食べる。
外はそれほど寒くはない。-3度くらい。少し風がある。
満開の星空。月明かりが明るい。ヘッドランプを使わないくても足元から山頂まで見えるくらい。

ゆっくりのぼり始める。標高5000mを越えると、メンバーの中に吐き気を催す人がいた。
少し休むと回復し、また、登り始める。ポレポレだ。

恐らく人生の中でここまでゆっくり歩いたことはないというほどゆっくりだ。
日が明けてくるまでは、寒さと眠けとの戦いだ。
ジワジワと歩を進める。背中のほうからようやく闇のカーテンが下から濃い赤色が広がってくる。


「朝焼けとマウェンジ峰」

突然、体の中から勇気がわいてくる。
気がつけば、山頂は目の前。すでに登頂した人たちの声が賑やかだ。

全員無事ギルマンズポイント登頂だ。


「ギルマンズポイント5681m」


「ホンゲーラ!!(おめでとう)」

高山病の辛さを乗り越え、登頂できた握手は力強い。
記念撮影をする。背景には分厚い氷河がテカテカ光る。

余裕のある人は、お鉢をまわり、富士山の剣が峰にあたるウフルピークを目指す。
山頂付近には、若干の雪が残る。上手く避けながら、歩く。
ウフルピークは近いようで遠い。なんてことない傾斜のようできつい&長い。

「おおお!!!」

少し歩くと、中が青くなったキリマンジャロの分厚い氷河が現れる。
これだけの巨大な氷河が山頂だけに存在するのが不思議なくらい。




「キリマンジャロの氷河」

もう一息がんばる。

丘を越え、また、丘を越え、まだか、と思う頃ウフルピークが見え始める。

「ばんざーい!!」

ついに、アフリカ最高峰5895mに登頂だ。
アフリカの天下を治めたような気分。
カンカンに眩しい太陽と濃い青空と氷河が祝福してくれているようだ。


「ウフルピーク5895m」

キリマンジャロの火口は、富士山の何倍も広い。
富士山のお鉢めぐりとは全く違い改めてキリマンジャロの大きさを感じた。


○下山

帰路は、ホロンボハットに一泊して、登山口のマラングゲートまで下りた。
4泊かけて登った道を一泊二日で降りてしまうので、あっという間だ。

登山口に下りると、エミーが腕を目一杯広げて待っていてくれた。
今回、日本から7人のメンバーのうち、5人がウフル、2人がギルマンズ。
全員、登頂だ。最後は、お別れパーティーをした。

シャンパイで乾杯をして、お世話になったポーター達にチップを渡し、キリマンジャロの歌を三曲ほど
メドレーで続け、踊った。別れが惜しい。


「アサンテサーナ!」




「スライドショー」



コメント

  1. きもと より:

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    いいなあ、キリマンジャロ。
    お客様もとっても喜んだでしょう。
    写真で見ると、ずっと晴れているね。
    ここら辺は晴天率の高いところなのかな?乾季だからかな?

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