四川省・ブルーポピー咲き乱れる大姑娘山(5025m)登山

皆様、お久しぶりです。随分とレポートが遅れてしまいスミマセン。2009年6/25~出発した大姑娘山登山のご報告です。
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 今回は大地震あった四川省の大姑娘山を登りに行った。大地震から復興後第一本目のツアーとなりました。現地では大地震の復興作業が急ピッチで行われていましたが、一部区間道路の復旧が遅れ山麓までのルート変更がありましたが、登山には問題ないようで安心しました。去年一年間はこの地域へ「人」が入っていないのでお花畑に今年はさらに期待できそうです(・e・)
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 大姑娘山(タークニャンサン)は、中国四川省の成都から北北西方向にあり、四つの姉妹の山が並んび(四姑娘山、三姑娘山、二姑娘山、大姑娘山)その四つの中では技術的に難しいところもなく、夏であれば軽アイゼン程度の装備があればいける山です。しかし、標高がなんと5025mありそこへは厳しいトレーニングを積んだ者だけにしか登れない山でもあります。酸素濃度は地上の半分ほどしかなく高山病にかかり登れなくなる人もいる。しかし、日本では決して見ることのできない想像を絶するようなお花畑の大群落と、幻の「青いケシ」、5000m級の山などこの山の魅力は語りつくせない。
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 大姑娘山へ登るために登山口のある日隆の山麓まで日本からなんと片道3日かかる。3日というと果てしなく遠く感じるが、途中パンダ保護区にてパンダを観察したり、日本では見ることができない車窓の風景は飽きることがない。パンダ園がある雅安から峠道を登り、中国で一番長い二朗山のトンネル(8km)を越えると、町並みや空気は突然チベット色になり国境を越えたかのように文化圏が変化したことに驚く。
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辛かった中華料理も成都から遠ざかるに従いスパイスの量が減り「やさしい味」となり日本人の僕らに合うようになる。チベット民族の町「濾定(ロテイ)」から切れ落ちた山の谷の底を川沿いに車を蛇行させながら進む。道中、バンの車両後部は跳ね上がって頭を打つほどの激しい試練に耐えなければならず、皆で協力して交代交代で車内の揺れに耐えた。谷を見上げれば今にも落石が落ちてきそうなほど切り立ち、反対の川側を見れば、車輪が崖に落ちそうなほど切れ落ちている。ただただその中央を走るしかないボコボコこの林道。しかし、皆笑っていた。この逆境をポジティブに楽しめる人は少ないと思うが、この時この人たちとなら全員登頂できるような気がした。


 ようやく登山口のある日隆(リーロン)に着いた。ここで村長である民村長さんの家でおいしい本格チベット料理を体験し活力を得た僕ら一行は準備を整え登山口へ向かった。


 イケメンガイドの「民さん」を先頭に、日本語をとても流暢に操り、歌手並のいい声の持ち主で、誇りある民族イー族の「ジェノさん」、ポーターの「揚さんペア」に、ムードメーカーの「張さん」。それに荷物運搬用の馬が二頭ついた。



 一日目は、登山口3100mからBC(ベースキャンプ)のある3800m地点まで休憩含め約6時間半かけゆっくり高度をあげた。途中にリュウキンカ、サクラソウ、シオガマ、フウロ、トラノオ、ゲンチャナリンドウ、アズマギク、クサジンチョウゲ、ワスレナクサ、キンロバイ、ギンロバイ、アヤメ、キンポウゲ、イチヤクソウ、タンポポ、タツナミソウなど多数の高山植物を観察できた。

お昼は石板热というところでスタッフ手作りピクニックランチ。ヤクがのんびり行き交うお花畑の草原をシャッターに収めようと夢中になりながら登った。ここまで登山というよりはハイキングだ。しかし、標高は富士山より高いところまでいくのでゆっくり腹式呼吸を意識しながら水分をたくさん摂取し歩を進めた。



 登山二日目。この日は高度3800mにて高度順応日。BCから川を上流に進み大海子の湖まで。色とりどりの高山植物をゆっくり観察しながら歩いていると、

「わああ!!」

っと前方がざわめいた。どうやら黄色いケシを見つけたようだ。ついに、ケシの花を「生」で見ることができ感動!帰りは、川を反対側へ渡り歩いた。こちら側はほとんど人が入る事が少ないようでお花畑の楽園だ。お花を掻き分けずには前に進めない。絵で描かれたような夢の世界。少しでも登山道を外れると怒られる「日本の山」とは対照的に自由に思い思いに楽しめる。BCへ戻るのに何本か川をまた渡らなければならなかったがスタッフの手厚いサポートによりスリリングな丸太渡りもなんとか無事クリア。


黄色のケシ

 登山三日目。本日はBC(3800m)からC1(4500m)へ。毎朝、血液中の酸素濃度を測定するパルスオキシメーターで健康状態チェック。みなさん順調に高度へ順応しているよう。いつもの体操をしてヤクがのんびりするお花畑牧場をゆっくり登る。

「わああ!!」

中腹の沢沿いで歓声があがった。ついにブルーポピー発見!!ブルーポピーの発見に今までの辛さが吹っ飛び無心がシャッターを押す。ガレ場の高所でサボテンのような力強さと空を映したような濃くて深いブルーは不思議な魅力がある。いろいろ種類がありラケモサ、ホリドラ、ヘンリキとシロマクダの変種、インテフォレグリア(黄色)など観察できた。この植物は写真で見たよりも「生」でみたほうが遥かに「インパクト」と「感動」を与える。

「ブルーポピー(青色のケシの花)」

気がつくとC1キャンプ(4500m)まで辿り着いてしまった。どうやら「ケシ」からパワーをもらったようだ。


 本日いよいよ頂上5025mを目指す!朝夜明けと共に出発。風がなく雲はあるが見通しが良く素晴らしいコンディション。前日のパーティーはガスのため登れなかったようで心配していたが、今日は問題はなさそうだ。C1からは、急登りのガレ場を鞍部まで一歩一歩慎重に足を運ぶ。


「サクラソウ」

「ベンケイソウ」

鞍部からは 四姑娘山、三姑娘山が姿を現し思わず、拍手!小休止をしながら一歩一歩重くなって行く身体を確実に引っ張りあげる。この「体の重さ」は富士山でも体験できない未知の領域だ。自分自身との戦い。「なぜ、山に登るのか?」ふとそんな思考が脳内を過ぎるのだがみんなで励ましあいながらがんばる。

「登頂でーす!!」



最高に気持ちいい瞬間だ!!くっきり周りの山が遠くまで見える。辛かった表情が「笑み」に変わる。感動を全員で称えあい祝福。最後に集合写真を撮りゆっくりBCまで下山。

「山頂から下山」

ガレ場を過ぎるまで気が抜けないが、今までの6日間の表情とはどこか違う。皆「やり遂げた」自信に満ちた表情で、C1、BCキャンプで待つスタッフに全員登頂の報告をすることができた。


 夕食後は、「登頂証明」が早速一枚一枚ガイドのジェノさんより贈呈され、スタッフ総勢とお客様全員で乾杯をした。その後は「歌」「踊り」に山の中でケーキが振舞われ盛り上がった。

ベースキャンプで最後の朝、白い雲の下には真っ白に降り積もった雪山がきれいだった。C1キャンプからあたりは昨日からだいぶ「雪」が降り積もったらしい。登頂日がもし今日だったら登れなかったかもしれないと思うと、ホントついていた。


「ん?エーデルワイス?」

疲れてはいたが、今晩は中国の山奥へ潜むチベット民族の美人谷「丹巴」へ滞在するということなのでテンションが上がる。丹巴のホテル周辺は何もなさそうな寂れた山村といった感じだが、少し歩くと、突如として繁華街が出現しきれいな格好をした若者や美しい民族衣装をきた女性に出会う。各自お土産を買ったり、ダンスに飛び込み参加したりと楽しんだ。

美人谷「丹巴」を後にして正都へ車を進める。来るときと同じ道を帰るので覚悟はしていたが、やっぱりハード・ハード(笑)途中ハプニングも。小さな町で渋滞があり待っていると、勢いよく散水車用のトラックがつっこんできた。列に並ぶ気配はなく反対側斜線にクラクションを鳴らしながら侵入してきた。

「わああ」と共に「「バーン!」と音がした。

ああ、、「事故った。」。。。。

明らかに運転手が「非」がありそうだが何食わぬ顔。全く動じていないし、悪気もない。

 「交渉」風景は中国人の国民性をみているようで、渋滞解消待ちをしていた僕らにとってはいい暇つぶし?となった。その後も全く動かない渋滞に引き換えしたりもしたが陽のある内に成都へ到着。

「いつも濁流の川!迫力が違いますね」

成都一番の人気店「陳麻婆豆腐」で最後の晩餐をして、「川劇」へ。なかでも一瞬で顔が摩り替わる「変面」には驚きました。何度見ても仕掛けがわかりませんでした。さすが中国4000年の歴史。奥が深いです。未だに「茶馬古道」も幹線道路と平行し現役で使用されている様子で次回は中国の歴史を感じながら歩く旅も良いかもしれませんね。

「陳麻婆豆腐」

 今回は、皆様のご協力のおかげで「全員登頂!!」ができ本当にありがとうございました。また、お会いできる日を楽しみにしております。



コメント

  1. tibits より:

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    ブルーポピーの絵は載せてくれないの?

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